第38章 発散

南坂海乃は、その騒がしくもどこか愛おしい光景を眺めながら、胸の奥がふわりとほどけていくのを感じた。

「いいよ」笑って頷く。「じゃあ今日のごはん、来た人みんな権利ありってことで……私もお金持ちを遠慮なくたかっていい?」

「もちろん」野口颯汰は目尻をゆるめた。「ここにいる以上、身ぐるみ剥がされても文句言えないな。好きにして」

けれど野口凛は、悪戯っぽい目で海乃の顔をじっと見回したかと思うと、ふっと表情を引き締めた。少し身を乗り出し、眉を寄せる。

「え? 海乃姉。笑ってるのに……目、赤くない? さっき誰かに何か言われた?」

南坂海乃は反射的に目尻に触れた。指先に、ひんやりした湿り気が当た...

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